ミゼット(1〜10)/ミゼット
「マーブル」
盗む手の平の中に赤溶ける机に隠した白い罪たち
「ラム」
砂浜に焼け跡残して乙女去る贄の羊が丘の上で鳴く
「頭痛」
病む棘は所詮誰にも分からない晴れた日曜泣きたい独り
「白墨と砂」
砂を掻き死産の声を弔えばスカートの裾白く汚れる
「囚われる」
(格子降る赤いインクの染みに似て気違い女の姿幽かに)
「鳥を放つ」
いち、に、さん。残る面影空掴む彼女の右手煽られる髪
「森はどこまでも広がるのか」
冷える森 を持って分け入れば赤に惑いて自我を失う
「遠い日」
声の無き人魚が砂漠で見る夢は故郷の海か捨てた男か
「殺生」
壁
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