砂漠へ行って死のう/しゃしゃり
待ちます。
介抱にやってきた保健委員のお姉さんに、
ぼく、待ちます。
と言った。
べつに待たなくてもいいですよ、
ベッド空いてますから横になっててくださいね、
とお姉さんはやさしく言った。
それで保健室のベッドで、
膝をぐるぐる巻きにされて、
果てしない五十年のことを思い描いた。
しかし、本当に果てしないのは、
こんな秋のよく晴れた一日のことだった。
俺にはもう、
あの女がいない。
つめたい風だ。
絶望的な一日だ。
今日死のうが五十年後に死のうが、
俺にできることは、
ひとつしかないではないか。
俺はあの女を愛する。
それでも愛する。
あと五十年愛する。
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