砂漠へ行って死のう/しゃしゃり
 

百年でもよいが、さしあたって五十年にしとく。
俺のことを、
想ってくれなくても、かまわない。
もう失うものはない。
鉛筆なんかいらない。
もう望むものはない。
温泉の素もいらない。
ただあの女を愛する俺でいる。
砂漠のとかげになって、俺はあの女を愛する。
砂漠のハゲワシになって、
砂漠にハゲワシがいるのかは知らんが、
俺は秋の空からあの女を愛する。
そして、五十年後、
砂漠の真ん中でバッタリ膝をついて、
倒れようと思う。
わが人生に悔い無し。
そういう微笑みで、死んでいこうと思う。
だが今は腹が減った。
さっきの保健委員のお姉さんいいおっぱいしてたな。
おにぎりは持ってきてもらえないのだろうか。
乾いたおもちゃの銃声が遠くに響く。
実によい天気だ。




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