「幸せの花束」〜奥主榮・白糸雅樹さん結婚の日に〜/服部 剛
*
横浜駅で停車して
乗客が増えた車内のドアは閉まり
プラットホームに溢れる無数の人々を横目に
列車は加速していく
西の空に傾き始めた
ブラインド越しに輝く太陽
この車内で
この国で
この地球上で
無数の物語を生きる人々が
歌い
怒り
泣き
笑う
「無数の昨日」へ葬られてゆく
二度と戻らない「今日という日」
*
一昨日
親父・母ちゃん・婆ちゃんは
富山に嫁いだ姉と孫娘の家へと
羽田空港から飛んで行った
今頃
がらんとした僕の家の仏壇には
花瓶に生けたりんどうが
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