他部族の踊り子/緑茶塵
 
げて見渡す。
「あ、あんたさっきの」
若い男の声がした。
「ああ…」
さっき馬を駆り出した威勢のいい女と、若い男が戻ってきたのだ。
女は先ほどと同じく馬の後方に乗っていた。しかしたずなは男が繰っていた。
「冷えるぜ、気をつけな」
馬が踵を返し集落の方へと戻っていく。
「ああそうそう。こいつがあんたの事、綺麗だったてさ」
若い男が女を眼で指しながら、俺の胸元へ話しかける。
「ありがとう」
馬が駆けていくと、またあたりに静けさが戻った。
「私の踊り、何で途中で抜け出したの?」
「酔ったんだよ」
「そう、なら良かった」
「あんたの踊りは、誰にもまねが出来ないと思う」
あり
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