他部族の踊り子/緑茶塵
ら」
「そうか?どこが違うんだ?」
「あなたは町に行きたいとは思わないでしょ?」
「ああ、そうだな。町には何があるんだ?みんなそんなに行きたがっているのか?」
「色々よ。色々あるから、みんな町に行きたがるの」
「そんなものか」
彼女は皮袋に口をつけて、そのまま酒を飲み始めた。
俺は動きを止めてそれを見つめていた。
「なんかお酒が美味しい」
皮袋から口を離して、唇を拭う。
「あした、町へ戻るの」
彼女や演者は祭りのためだけにここに来ていた。そして次の祭りの時に、同じ踊り子と巡り合うかどうかは誰にも知れない事だった。
「楽しかったわ」
彼女は立ち上がると天幕の入り口の布をよけ
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