社会の一つとして個人を見てしまうあなたへの手紙/I.Yamaguchi
 

生き血を吸われる前の蟻をグルグル巻いて
自らの凶器を神秘のうちに隠したのでした。

彼らは自分との関わりが終わったのではなく、
ただ遠くに離れていっただけに思われます。
付き合いはもうないじゃないか、と人に言われても
三年ぶりに現れた年賀状
引き出しに潜ったプレゼントのロザリオ
病室の中での口臭と同じ豚角煮湯葉包みまん
数限りなくある思い起こす物のおかげで
気づくと彼らはそばにいるように感じます。

もしかすると、あなたは僕とは違うわけなのですから
ケンカで人と絶交したことや
鷹が獲物を捕らえる瞬間
人が息を引き取る瞬間を
見たことがあるのかもしれません。
しか
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