弾痕/ゼッケン
 
だろう
彼は彼のマンションにいつも見知らぬ誰かを住まわせていた
男のこともあれば女のこともあった
彼は拾ってくるのだと言っていた

どういうコネがあるのか
背広を着た背中にちょっとちがう雰囲気のある男が
彼となにかを話していて
男はぼくを見ると彼に頭を下げて帰っていった
なんか、こわい人だったけど と、ぼくが言うと
ボーリョクダン と、彼は答えた
へえ ぼくは必要以上に驚いた顔をつくって彼を見た
彼はぼくの非難の視線を手で振り払うようにして
おれじゃない。父親に頼み事があるんだ、あいつら
それがなぜ、きみのところに?
知るか! 彼の声は不意に高まり、彼自身を気まずく
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