fractal/あやさめ
人とも黒い服装でうつむいたままだ。あれがドッペルゲンガーだとしてもおかしくないだろう。
ただし、それにしてはあまりにも都合がよすぎる。まるで貧困な選択肢から否応なく選ばれた外れくじそのものだ。
しかし、いずれにしろここで僕たちは岐路に立たされた。」
「岐路?」
「目の前には今まで存在しなかった物体があるわけだ。この台本にもそんな記述がない。それは<1>を見れば明らかだ。
僕たちが<2>の存在だとした場合、僕たちがこの台本に「書かれている」間じゅう、ほかの存在は全て無視されてきたんだ。
ところが今ここで僕たちはもう2人の存在を認識してしまった。
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