その2俳句の非ジョーシキ/佐々宝砂
る。
俳句から話が離れるが、テッド・チャンの「顔の美醜について」(『あなたの人生の物語』に収録)を読んでいて、「私はつまり自由になりたいんだな」と思った。チャンの小説は、顔の美醜を顔の認識から離れさせる装置「カリー」というものを提案することによって、人がいかに顔の美醜に縛られているかを説く。美人がシャンプーのCMで髪をなびかせれば、そのシャンプーがいいもののように思えてくるが、実際は使ってみなきゃわからない。使ってみたところで、「これを使えばきれいになる」という思いこみがあったとしたら、正確な判断はできない。美人を見て「きれいだなー」と思うのは気持ちいいことだけれど、自分の判断が鈍るのはいや
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