「空色の手紙」 〜蝉の伝言〜 /服部 剛
 
数日前の夜
ホームページの日記で、
遠い空の下にいる友が恋人と別れ、
自らを罪人として、責めていた。 

( 自らの死を越えて
( 生きる明日への道を見据えていた
( 彼女の瞳は光を宿し始めていた

それからの夜毎
僕の枕辺にはいつも、
一つの思案が耳元から離れなかった。


  * 


( 人の心の闇には
( 刃先の光るナイフが吊り下がっていた 

人々が巨大なビル群を目の前に歩く日常。 
辿り着けない場所に向かって、行進は続く。 
時に、すれ違う誰かを傷つけながら。 

霞(かすみ)のかかる幻影都市の上
色の無い空に淡く{ルビ耀=かがや
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