森林駅西口徒歩五分/海月
いつしか駅前は賑やかに華やかになった
便利になり木が無くなったことには気づかない
気づいたのは工事を反対した人間と僕だけ
喫茶店は賑やかになって通う事を止めた
本当は見えていた景色が変わったかもしれない
その事は僕自身も解らない
?
桜の花が散り行く季節になり
去年より花びらが少ない事に悲しくなった
「風流だね
そうですね
桜を見ると心が悲しくなりますね
本当そうですね」
誰かの会話とは裏腹に決して風流なんかじゃなかった
この悲しみを取り戻すことは出来ない
それでも唯一の助けが在った
それは西口だけは何もさ
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