Cry For The Moon 6「観賞、あるいは詩のソムリエ」/佐々宝砂
 
、ワインを飲めば酔うだろう。ワインの基本的な要素は、飲み方味わい方がレベルアップしても、いささかも失われはしないのである。

詩も同じだと言ったら、いささか乱暴だろうか。いちばん低レベルな詩の読み方は、「ただ感動できればいい」というレベルだと私は思うのだ。感動すればそれでよいんなら、何もわざわざ詩を読むことはない。小説でも実話でもいい。文学でなくてもいい。ドラマ・映画・絵画・音楽・ドキュメンタリー・スポーツ・ニュース・風景・動物・会話・旅、世の中には人間を感動させるものが山のよーにある。たいていは詩より簡単に感動できる。だのに、なぜ、わざわざ解読のめんどくさい「詩」というものを選んで読むのか?
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