片平と船越のあいだ/カンチェルスキス
赤くて細長い絨毯を広げるのはやめてくれっておれは一応言っておいた。だが、あいつときたら「ちょっと待ってね」と言って、自転車から降りる。
何するんだろうと、わかってたさ。
あいつ、カゴから丸めた赤い絨毯取り出して、広げはじめた。ボールを転がすようにしてさ、悪い予感ってのは問題なく当たるもんだよ、赤い絨毯の先端は100円ショップダイソーの扉に。まるでアカデミー賞授賞式だ。
やばい、とおれは思ったけれど、こいつやっぱかわいいところあるなと思ったりもした。
というのも、ゆっくりのぼろう道玄坂ちゃん、まあ、あいつのことなんだけどさ、店は出口と入口で扉が分かれてんのに広げた方向は、出口の
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