片平と船越のあいだ/カンチェルスキス
 
口のほうだった。おれはうんざりしながら早速指摘した。
「そっち出口だよ、道玄坂ちゃん」
 あいつは笑った。すごい笑顔だ。脳味噌あんのかなーと少し疑ってしまうほどの笑顔だ。
 そして笑顔のまま、赤い絨毯を入口のほうに向きを変える。いったん丸めなおしてからもう一度広げるなんてことはしない。そのままひきずっていった。結構がさつなところもあるんだ。
「ねえ、降りて。踝ロックちゃん」
 おれのことだよ。おれは渋々、自転車の荷台から降りた。なんだかかんだ言って、おれはあいつにひきずられてるところがあった。言われた通り、おれは絨毯の上を歩いていった。
 拍手すんなっておれは思ったよ、あいつ。まるでア
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