野球場へ行って泣こう/しゃしゃり
 
うなろうと、
まったくなんの同情の余地もない。
日本にプロ野球はない。
プロフェッショナルとしてのベースボールなど、
もともと存在しない。
ただ、読売巨人軍を祭り上げた、
一種の伝統芸能があっただけなのだ。
なのに、
子供の頃は、ゴムボールで空き地で野球をした、
俺たちは、
父さんとキャッチボールをするだけで嬉しかった、
俺たちは、
だから、どうでもいいのに、
なぜか、野球が今さら恋しい。
あの子が俺を好きだと言ってくれた。
俺はいま、義侠心にかられたサムライとなった。
野球を助けたい。
だから野球場へ行った。
自転車で十分のところにある、市民球場だ。
スタン
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