野球場へ行って泣こう/しゃしゃり
 
タンドで俺は泣いた。
こんな俺に彼女ができた。
何度も死にかけたけれど、
生きていてよかった。
だから友よ、
きみも死ぬな。
野球をしよう。
俺を見ろ。
惨めで恥ずかしい人生を送ってきたが、
それでもめげずにこりずにやってきた。
そして、やっと、
俺のことを好きだという、
俺の好きなガールが現れた。
こんどいっしょに野球を見に行こうと思う。
もちろんプロ野球なんかじゃなく、
そのへんの草野球だ。
夢よ、
野球は美しい。
ローカルな玉遊びだが、
それは美しい。
あの子のように美しい。
明日俺は恋人と、
そう、恋人と、俺の恋人と、キャッチボールをしよう。
むかし父さんと、
夕焼けを背に遊んだように。




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