「記憶の水溜りと祖父の手紙」 海月と雨宮一縷/海月
ことになるだろう
死がワシを迎えに来ている
ただ、ワシの本能が生に縋り付く筈
そして、ワシが生きていたらもう会わなくて良い
お前に残された時間を有意義に使え
そろそろ、酒がなくなる頃・・・」
私は「何を言っているの?」と言って
空っぽになった酒を取りに行った
そして、祖父は予告通りに倒れた
姿を消して数週間が経って手紙が届いた
長いようで短く
時間は遅いようで素早く動いていた
手紙を読む手は震えを止まなかった
「拝啓 親愛なる娘へ
若葉の色も青々しく蝉の鳴き声も聴こえるこの頃・・・
わしは最後にお前に手紙を送り生涯を終える。
記憶の
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