「記憶の水溜りと祖父の手紙」 海月と雨宮一縷/海月
 
を繋いでいた

別れるのに時間は不必要だった
祖父は私の元を離れていった

祖父が入院した病院は県内でも大きい方だった
ただ、その場所を祖父は嫌がっていた
祖父は勝手に病院を抜け出し
私の目の前から姿を消した

祖父の記憶の水溜り
あと少ししかないことは誰が見ても一目瞭然だった
答えの期間は決まっていた

私は祖父を探しに出なかった
周りの目は非難していたがそれでも良かった
祖父は倒れる直前に酒に酔いこう言った

「お前のような妻に会えて本当に良かった
 最後の盃が出来て本当に良かった
 この酒がワシにとって最後の酒になるだろう
 今夜にでもここを絶つこと
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