夕焼けが眠る川/mina
明さと
音のない旋律を奏でていた
夢のなかにまだいるようだね と
わたしたちは言い合い
注ぐコーヒーから立ち上る湯気を
追いかけるともなく 見上げたりした
君は そのとき 何か大切なことを言いたかったのではと
いまになって 思う
光の粒が小さな蝶になって
世界を祝福しているような穏やかな日に
目蓋に落ちる光が
閉じた暗闇がその熱で赤く染まるなかで
聞こえてくる 川のせせらぐ音に
半透明になっていく体を
ただ隣に寝転ぶもう一つの体にゆだねていた わたしに
探しているんだ
君は まだみたことのない夕焼けの話をし
もう亡くなった曾おばあちゃんに聞
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