黒猫の瞳/服部 剛
君が帰った Cafeの 空席に
さっきまでノートに描いていた
空へと届く望遠鏡の幻がぼんやり浮かんでいる
別々に家路に着く
君の切なさも
僕の切なさも
この Cafe に置いていけばいい
そして
当たり前に訪れる夜明けのアスファルトを
君は教室へ
僕は職場へ
歩いていけばいい
一人になった Cafe で
カップに残す紅茶も少なくなった頃
リュックから君の詩集を取り出す
表紙には、けな気(げ)な顔で笑う黒猫
凛(りん)としなやかに立つ尻尾(しっぽ)に結ばれた
赤いリボンは光を帯び
黒猫の小さい顔に手
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