僕と君と麦わら帽子と本 第三章/こめ
と風に運ばれて彼女の
香水のにおいがただよってきた
ぼくとは無縁の香水の香りに
少し酔いしれた
がすぐに正気に戻った
すると彼女がおそるおそる
口を開いてふるえる口調で
「こんにちわと」話しかけてきた
ぼくは軽くおじぎをして「こんにちわと」返した
「いい天気ですね」
「そうですね、なんだか眠くなりますね」
「あなたは、いつもここで本を読んでいるんですか?」
「まあ、暇さえあればここに来て本を読んでいますね
あなたもよくここに来るんですか?」
「まあ、やることがないんで時々ここに来て風に当たっています」
「ふー
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