少年予定/霜天
その日も、少年(予定)は、間違えた言葉をそのままに口にする
変換の仕方も削除の方法も、最後には気付けないことばかりなので
いつまでも、「あ」と「い」が上手く発音できない
それでもいいか、なんて思っている夜
君が伝えることも、君に伝わることも
世界から流されて、嫌でも耳にする情報よりは
ほんの少しのことだろうから
あだ名はいつから消えてしまったのだろう
君は世界の全てが斜めになる角度を知っていて
机の上に頬杖をつく、斜めの顔は未知の置物のようだ
あだ名は、いつから消えてしまったのだろう
それでも、少年(予定)は呼びかけて
帰ってくる道筋を期待している
石段に染み渡る
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