少年予定/霜天
渡る声や、声
少し冷たいな、といつか呟いたことを誰も知らない
空の帰属が
結局、分からなかった
誰かと誰かの間で静かに戦争が始まり
結局、別れてしまった
同じこと、なのかもしれない
見覚えのある顔のようで
どこにでもある花のような
区切れない香りを
いつまで分け続けなければならないだろう
菜の花が今年も咲いた
僕らの好きな花だ
きっと君も同じだろう
同じ顔の世界の中で
それから
一日を終わらせると
明日を組み立てなければならなくて
君はひとつ、ため息を漏らす
少年、は躓かないこと
躊躇わない指先や、振り向かない足跡
確定されない景色は、どうしても思い浮かばない
全ての答えを急かされては
立ち止まるための足場もない
雨の日のバス停の、狭い屋根の下には
抱けないくらいの戸惑いが
詰められている
いつまでも予定でありたかった
今ここに抱いているものよりも
抱けなかった言葉の行方を
少年予定
名前のない頃に
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