批ギ ティラノサウルス『放牧』/黒川排除 (oldsoup)
 
あらわれてくるはずだ。これは嘘ではないけれど。嘘という言葉を何度か使っているうちに嘘という言葉が一体なんであったかさっぱりわからなくなってくるように牛という言葉を用いようとしてはいるものの、実際には何度か牧場を駆け回った後に再び牛の元へ戻っているにすぎない。普段の文章の中に牛という言葉が入るでもなく、ただ牛牛牛と連呼するでもなく、その真ん中らへんの富裕層でなくて浮遊層、非常に不安定で、非常に微妙な位置にこの詩は、牛と牛とで表現を包囲するということを選ぼうとした。放牧の行われている牧場あるいはもっとでかい草原みたいなただっぴろい大草原の小さな家とかそういうものが牛と牛の間にあった。そこに真っ先に小躍
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