[ 思い出列車 ]/渕崎。
 
に流れていきます

『一通り、ご覧いただけたでしょうか?』

ひび割れた声が淡々と、
けれども、あたたかく訊ねて
乗客はゆっくりと窓から目を離し、すっくと席を立ちました

「この、電車の行き先を教えてくれますか?」
『それはもう、ご自身でお分かりでありましょう』

ひび割れたスピーカー越しでなく、
奇天烈な色合いの駅員服に身を包んだ少女が
古びた板の座席と座席の合間にに立って
切符バサミを差し出しました。

( もう終点はすぐそこか
( 最後の最後にこんな演出があるとは、驚きだ



ガタン ゴトン ガタン ゴトン
ガタン ゴトン ガタン ゴトン


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