哀しみの夜に 〜僕を励ます十五年前の唄声〜/服部 剛
 
生き方が恥ずかしく
思えた。 
 心貧しい者でありながらも、私は老人を介護する者であり、詩を
書く者である。この世で生きるということは、時に若き日から胸に
抱いていた夢を、泥で塗られることがある。それは自分自身の手が
汚れているからであり、関わる誰かの手が汚れているからでもあり、
そして、それが自分を含めた「人間の姿」でもあるからだ。その現
実が、私は哀しい。私は傷つけ合うために、老人介護職をしている
のでも、詩を書いているのでもない。
 だが、真の夢(志)を追うならば、弱っていた足で立ち上がらね
ばならぬ。くじけることのない汚れた両足は、ひとすじの道を歩み
続けねばな
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