哀しみの夜に 〜僕を励ます十五年前の唄声〜/服部 剛
ゆっくりと立ち上がれ
私は、弱い人間である。この深夜に、独り呟く声に耳を傾けるよ
うにこの手紙を読んでくださるあなたを私は友と感じる。
今日、夕食を食べた後に放送していたテレビ番組で、余命三ヶ月
と診断された看護婦が病を克服し、生かされている自分に与えられ
た使命を感じ、現在も重病人の傍らで看護婦の仕事を続けている人
の物語を見ていた僕は、「今の自分が悩んでいることよりも、ずっ
と辛い絶望の淵から蘇り、生きている人がいる・・」と思い、胸の
奥に眠っていた「生きる力」が静かに湧き起こるのを感じた。それ
と同時にこの物語の看護婦の生き方に、自分の生き
[次のページ]
戻る 編 削 Point(10)