ある美しい愛の固定観念について/「智恵子抄」をとにかく読む(1)/渡邉建志
 
すり泣き}
いちゃついてます。扇をとっちゃうと智恵子はおもちゃを取られたみたいに泣くんです。めでたいですね。

路ゆく人はわれらを見て
かのいみじき事に祈りするものとなせり

人々は、彼らが天皇のことで泣いているんだと勘違いするわけです。で、いいわけします。

これもまた或るいみじき歎きの為めなれば
よしや姿は艶に過ぎたりとも
人よ、われらが涙をゆるしたまへ

「これもまた或るいみじき歎き」というのがいかしています。天皇とかより今目の前の恋愛に必死なんです。天皇も重要かもしれないが我々の恋愛も重要だと。そして、その姿はちょっと「艶」すぎるけど、まあ許してちょと言
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