ある美しい愛の固定観念について/「智恵子抄」をとにかく読む(1)/渡邉建志
と言うわけです。独り者としては許しがたいです。
+
「おそれ」
好きです。
いけない、いけない
静かにしてゐる此の水に手を触れてはいけない
まして石を投げ込んではいけない
一滴の水の微顫(びせん)も
無益な千万の波動をつひやすのだ
水の静けさを貴んで
静寂の価(あたひ)を量らなければいけない
この聯だけで「いけない」が5回使われているのに気付かれたでしょうか。そしてそれがちっとも稚拙ではないことを。一つの音楽を作り出していることを。
さて「静かにしてゐる」「水」とは何のことでしょうか?
{引用=
あなたは其のさきを私に話してはいけない
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(6)