みどりのコートを着たコドモ/mina
四月の雨のように柔らかい髪も
弱々しく
遠くの深い知らない暗闇へと繋がっているようにみえて 恐くて
夕ご飯も食べずに でかけてしまった
点灯虫が壊れた自転車
スニーカーの踵だけが月に照らされ光る
あっくんの家をすぎ
タコ滑り台がある公園をすぎ
バケツに毛糸をたらして実験待ちの学校をとおりすぎ
太陽に忘れられた場所に着いた
天辺の壁の隅に飛び出してる鉄骨に
ぶらさがるように
月だけが かかっている
踏み出す足もみえない
夢のなかの道を歩いているみたいに
あがった息も 他人
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