みどりのコートを着たコドモ/mina
他人の耳をとおしてバクバクと鳴り響いている
なんにもない
がっかり というより ほっとして
おかあさんたちにいないことみつからないうちに帰ろう
と もういちど月を見上げた
鉄骨が幾本にも増え
いつも遊ぶタコ滑り台みたいになっていた
銀の魚がキラキラと滑り落ちてくる
たくさん
あとから あとから
でこぼこの土に 入っていく
暗闇に消える瞬間
ぱちん
跳ねるような音
すると ぼくのてのひらから小さななにかがでている
熱い 空気の層のまんなかに なにかある
ぼくは そっと それを銀魚が消えた土の穴へと置いた
きがつくと ぼくは みどりのコートを着て
新しい命が芽吹き出す原っぱに立っていた
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