詩的インプラント 〜 馬野幹氏に捧げる鼻歌 あるいは馬野幹宇宙人説 〜/大覚アキラ
 
た。途端に、さっきまで穏やかな笑みを浮かべていたおじさんは眉間にものすごい皺を寄せて唸り声を上げ、やさしく微笑んでいたおねえさんは「もうこれ以上は1ミクロンも開きません!」というぐらいに両目を見開きサイレンのような叫びを上げた。びっくりした。ものすごくびっくりした。そして、恐怖と恥ずかしさを感じた。

恐怖っていうのはアレだ、さっきまでの二人が一瞬でまったく別人のように変貌してしまったことに対する違和感に由来するものだろうか。楳図かずおのマンガで、キレイな継母が蛙や鼠を見たとたんヘビ女の正体を現す場面があるんだけど、アレだな。そういう感じ。ああ、ちょっと違うな。変貌して怖い姿になるから怖いので
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