柱の印 〜働き者の A 婆ちゃん〜/服部 剛
 
冬の夕暮れ 老人ホームの庭に出て
A 婆(ばあ)ちゃんと若い僕はふたり
枯葉舞い散る林の中へと ずんずん ずんずん 進んでく

「 A さん、目的の宝物がみつかりました・・・!」

木の枝がごっそり積まれた前に立ち止まり
クリスマスの飾り物に使う小枝を
A 婆ちゃんがぽきぽき折っては
僕が両手で広げたビニール袋へ放り込み
小枝がどっさり積もった頃に
林は暗くなっていた 

「 A さん、そろそろお家(うち)に帰りましょう・・・」

A 婆ちゃんの細い肩にひざかけを被(かぶ)せて
振り返ったふたりは ずんずん 林の出口へ戻ってく

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