夢の小部屋 〜もの忘れのお婆ちゃん達と共に〜/服部 剛
 

車椅子に小さい身をうずめたお婆ちゃんの目の前にひざまずき
表彰状を授与したりしているうちに
若い僕はすっかりもの忘れのお婆ちゃん達ととけあっていて
気付いたら皆で声を揃(そろ)えて笑ってた

お婆ちゃん達が失いかけていた記憶の欠片(かけら)は
反時計回りの渦を巻いて集まり始め
柔(やわ)らかな瞳に
消えていた光が小さく灯(とも)る

「 さぁ、皆で歌声を合わせましょう・・・! 」

「 ♪ あ〜きのゆ〜う〜ひ〜に〜
      て〜る〜や〜ま〜も〜み〜じ〜 ♪ 」 

記憶のしまわれた重い引き出しはゆっくりと開かれ
眠っていた{ルビ脳裏=の
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