へろへろランナー 〜 いつかの僕との伴走 〜/服部 剛
 

二列になってランニングする最後尾に
補欠がひとり へろへろと 息を切らして走ってる

あれは 長い間消えかけていた いつかの僕だ

遅いなりに皆についていこうと
ワンテンポ遅れたかけ声を絞(しぼ)り出している

振り返れば
社会に出て間もない頃
「明日は無い・・・」と悲嘆に暮れた日々さえ
くじけそうな僕の傍(かたわ)らにはいつも
補欠だった いつかの僕 がうっすらとした姿で
へろへろと息を切らして走り続けていた

ネットの網目越しに
頼りなくもなんとか皆についていく後ろ姿を見送ってから
再び僕は職場へと向かう 

( 朝日に照らされて
( たわ
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