へろへろランナー 〜 いつかの僕との伴走 〜/服部 剛
 
たわわに実のついた柿ノ木の枝に
( 一匹の雀(すずめ)が小躍(こおど)りしながら舞い降りた

今日という新たな一日へとくぐり抜ける
職場の門へと続く一本道を
昔より少し強く地面を踏みしめ
不思議な力を胸に蓄(たくわ)え歩みゆく僕の傍らを
うっすらと消えない姿で走り続ける いつかの僕
懐かしいかけ声を空に響かせる

初冬の澄んだ空気に ひとつ 白い吐息(といき)が昇った 




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