白い花に囲まれた寝顔 〜 K 婆ちゃんに捧ぐ 〜/服部 剛
みつかった?」
じっと僕をみつめて心配そうに
「しょうかいするから」
と、ろれつの回らぬ声で言う
K 婆ちゃん、
日中共にいる人々と笑い合い
バカ話のひとつやふたつふりまきながら
軽い足取りを演じているけど
ひとりの夜の帰り道を
ぽつんと光る街灯の下に自らの影を伸ばして歩いていると
無風の夜にもこの胸の穴には
あてもない風が吹き抜けてゆくよ
K 婆ちゃん、
複雑な家庭事情で身寄りがいないあなたにとっては
僕等職員が家族だった
自分の誕生会の日は
誰かが通り過ぎるごとに声をかけ
かっぱ巻やらかんぴょう巻ばかりをご馳走してくれたね
K 婆ち
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