手向け(骨)/蒸発王
葬場までの車が一緒だった
俺が運転して
あの女は助手席だった
半端な人数だったから
車の中は俺とソイツだけだった
タバコが苦手だと知りつつも
嫌がらせで
俺はタバコをザクザク食らった
煙が充満しても
あの女は眉一つ顰めない
咳一つ漏らさない
学生時代
ダチと俺を怒鳴りつけた
怒号も発さず
火葬場に
着いた
蝋燭みたいな
匂いの中
寝台にぶちまけられた
ダチの
骨は
白というよりも
銀色に見えた
その時
俺の横にいた
あの女が
真っ白な細い指で
銀骨を掴んで
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