ツイン・コリドー/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
門? という事はこの老人の座る近くに門があるということだ。が、しかし門らしきものは見えない。そのかわりに、二つの、いつ作られたのかも定かではない、古い扉があった。一方は白く光る金属の枠に囲われ、もう一方は、オレンジ色の布のようなものに覆われていた。
「儂は、お前さんのような、地獄とも極楽ともつかぬ、さ迷える魂を導くため、この二つの扉を管理する者なのじゃ」
「む? すると俺は死んだと?」
「左様」
「で、地獄にも行けずにさ迷っていると……」
「そうじゃ。で、そういう者たちは善なのか悪なのか判別がつかぬので、どちらに行くか、自らの判断、いうなれば前世よりの因業によって行くべき道を決めるのじ
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