ホステスの母/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
 
しながらも僕のほうを向いて、口に人差し指を当てて合図をした。姉は気性が荒く、逆らうと鼻血が出るほど殴ってくるので、僕は当然黙ってそのまま布団に戻り、寝る事にしたのだった。
 しかし、朝になると細かく財布のチェックをする父にすぐ分かってしまったらしく、翌朝僕が起きてみると姉が居間で蹴飛ばされているのが見えた。姉が寝転びながら、所謂我が家でネコキックと呼んでいた、つまりネコの様に体を縮めながら折り曲げていた足で攻撃を防御するやり方で、父の力強く繰り出す蹴りに、ワケのわからない事を喚きながら必死に応戦していた。何故か今でも僕の頭には、その時の映像が、割に強く残っている。それにしても、姉がバレたのに、僕
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