学校、子供、社会/炭本 樹宏
ときは楽しかった。
学校帰りにはいつも、一人で石ころを蹴って家まで30分の道のりを歩いて帰った。僕の父は
忙しくて家にいることはまれで、気性の荒い母におばあちゃんが3年の時に亡くなってから、ずる休みをする度によく怒られた。今から考えると母もストレスを溜め込んでいたんだと思う。
しかし、僕はその頃、早く死んで楽になりたいとぼんやりと思っていて、通学中に車にはねられて死ねたらいいのにとよく妄想していた。楽することに執着していた。
勉強は楽しかった。5年の時から塾に通うようになってから、塾の生徒に友達もできた。学校よりも何倍も楽しかった。
その頃、近くの高校の校庭の前を通って通学してい
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