孤狸庵先生の面影を探しに 〜‘04 8月 Poete on the Road 旅行記より〜/服部 剛
 
つめていたら、
不思議と僕に勇気を与えられた感覚や、神戸駅の地下道
で行われていた原爆展の写真で見た悲惨な情景や、そし
て愛と幸せを探して頼りなくも途上の歩み続ける旅人の
自分の姿や、いろいろな想いが胸の内に巡り渦巻いてい
るのを感じながら必至に祈っていると、何故か絞るよう
な涙が、汗と共に頬を伝った。無人の教会の外では、蝉
がしきりに、鳴いていた。

*後編*

 教会を後にすると、僕は想いを寄せていたIさんも大
阪を旅していると聞いていたので、コンビニの公衆電話
から今日会えるかどうか聞く為に、Iさんの携帯の番号
を押した。

「都合よかったら、
 僕は
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