孤狸庵先生の面影を探しに 〜‘04 8月 Poete on the Road 旅行記より〜/服部 剛
 
ジとは違い、ふっくらとした笑顔の、関西風?のマリア
像だった。幼子を抱いたその胸には、あふれるほどの桃
色の薔薇を抱いて、その中の一輪を手にしてこちらに手
渡そうとしてくれているので、僕はマリア像がわたそう
としている薔薇を握ってみると、自分もこのマリア像の
ように、あふれる愛情を胸に生きれるような気がしてきた。
 僕は教会の中の真ん中の道を前に進み、祭壇の前に跪(ひざまず)
き、窓から射す日の光に白く照らされている、十字架に
かけられた人を見つめ、合わせた両手を額に当てて、目
を閉じた。祈りながら、夙川に来る前に神戸港のポート
タワーから震災復興後の神戸の街並みを見つめ
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