生前と死後のあいだで/小林レント讃3/渡邉建志
 
いた。そのときに彼の作品に出会って、まったくやられてしまったのだった。これが詩でなくてなんだというのか。これは短い小説ではない。ましてやただの思想告白でもない。彫刻された何かだ。鑑賞者を引きずり込む何かだ。その、詩が詩でしかできないことがあるのだということを、初めて強烈に感じたのが彼の作品に接してで、たしかこの詩にも衝撃を受けたような記憶がある。

自分が何かに沈んでいく感覚というのは、死に近づいていくことと似ているのかもしれない。おそらく、生と死はデジタルに分かれるものではなく、いうなれば「徐々に」死ぬのである。一酸化炭素中毒死を考えてみると、まず、たぶん意識が少しずつ遠くなり、からだに痺れ
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