生前と死後のあいだで/小林レント讃3/渡邉建志
痺れを感じ、だんだんと意識が水面下(水面というのは、おそらく生活とか現実世界と同じで、水面下はあの世だったり、非生活だったり、植物状態としての自分だったりする)へ沈んでいく。そうしているうちに、おそらく感覚器と脳の違いをはっきりと認識するときが来るだろう。つまり耳で聞くのではなく脳で聞くのだということ。音楽を聴きながら練炭自殺を試みたとして、そのある一時点で聞いたフレーズが、そのあとに続かずに(耳はきちんとその音を拾っているはずだが)、そのフレーズで延々とリフレインをくりかえし、くりかえしつつ、恐ろしいものに変形していく。そしてそれに伴って「自分で自分が制御できなくなっていく」ということを強く自覚
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