生前と死後のあいだで/小林レント讃3/渡邉建志
 
分は実に素晴らしい。ピクニック的な明るい要素を(+)、自殺的な暗い要素を(−)として、その明から暗への巧みな移行を見よう。

 秋になると
 恋人が(+)
 大きな家族が(+)
 子どもたちが(+)
 孤独を裸にさらした人々が(−)
 笑いながら(+)
 あるいは
 笑いを噛み殺しながら(−)
 そこに
 消えていった(−)

「笑いながら(+)」から「あるいは」を経て「笑いを噛み殺しながら」(−)への、切り返しの何という鮮烈さ。前者の(初読では)明るい笑いと、後者の狂った笑い。「笑い」という共通の記号を介して、詩をダイナミックに展開させている。

そして、

 
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