生前と死後のあいだで/小林レント讃3/渡邉建志
 

 跡形もなく
 いや
 高く
 何処までも響き
 しかし一瞬で消えてゆく
 笑い声だけを
 夜に残して

この映像もまたすさまじいものだ。ここでも、さっきと似たような、+から−へ切り返して展開していくのと似た、矛盾しているような表現がある。

「跡形もなく(正)」→(いや)→「高く何処までも響き(反)」→(しかし)→「一瞬で消えていく(正)」→「残して(反)」

僕は「死の一瞬が永遠のように長いのだろう」という感想を抱く。
而して矛盾しているように見える表現は詩へと止揚する。(詩揚?)
{引用=
3.
遊歩道を
かつて滝と呼ばれていたものへの
細い
遊歩道を
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