2. その崖は かつて 滝 と呼ばれていた 滝 の下にできる 水の窪みは それは 滝壷 と呼ばれていて 毎年 秋になると 恋人が 大きな家族が 子どもたちが 孤独を裸にさらした人々が 笑いながら あるいは 笑いを噛み殺しながら そこに 消えていった 跡形もなく いや 高く 何処までも響き しかし一瞬で消えてゆく 笑い声だけを 夜に残して