生前と死後のあいだで/小林レント讃3/渡邉建志
 
のぼっている}
この比類ない映像。逆流する滝、と一言で表現しない。滝とはここでは呼ばない。「泡立ち」を繰り返して、読むものにリズムを与えると同時に、映像もまた鮮麗なものとして与えている。

2.
その崖は
かつて

と呼ばれていた

の下にできる
水の窪みは
それは
滝壷
と呼ばれていて
毎年
秋になると
恋人が
大きな家族が
子どもたちが
孤独を裸にさらした人々が
笑いながら
あるいは
笑いを噛み殺しながら
そこに
消えていった
跡形もなく
いや
高く
何処までも響き
しかし一瞬で消えてゆく
笑い声だけを
夜に残して


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