生前と死後のあいだで/小林レント讃3/渡邉建志
 
鹿にされるのはぜんぜんいい(面と向かって言われると傷つくけど)。それより、彼の詩に先入主がつくのはあまりよろしくないかもしれない。だから、ここで僕の感想文を読む前に、詩を必ず読んできてほしい、といつも思いながら、書いている。

崖をのぼる水の話に戻る。僕はこの詩ほど透明な視線を感じる詩に出会ったことはないし、おそらくこれからも会うことはないだろう。この詩は、この特別な「老いた少年」にしか書けないものだから。かれの、まるで杖をつく老人のような、静かな諦めの視線は何か。生前と死後のあいだのような、このしずけさは何か。
{引用=
1.
透明な水たちが
泡立っている
泡立ったまま
崖をのぼ
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